院長コラム

糖尿病の合併症

糖尿病の多くは無症状です。
糖尿病は慢性的に血管の炎症をおこします。
その結果、動脈硬化が進行することで合併症を発症します。

糖尿病そのもので命を落とすのではなく、糖尿病合併症により命を落としたり、生活の質が下がる後遺症が残ります。
糖尿病合併症の多くは発症前段階である境界型糖尿病(糖尿病予備軍)と呼ばれる状態から始まっていると言われています。

動脈硬化として代表的な合併症である「微小血管障害」と「大血管障害」について紹介します。

「大血管障害=えのき」は命に直結するまずい状態と直感的に感じることができるかもしれませんが、「微小血管障害=しめじ」はあんまりピンと来ない合併症です。「微小血管障害=しめじ」は生活の質を極めて下げる嫌な病態です。神経障害を発症すれば一生しびれに悩まされます。網膜症が進行して眼底出血を合併して最悪失明(中途失明といって、これまで見えていたものが全く見えなくなる失明です)します。腎臓の機能が低下すれば週に何度も血液透析を行わないといけなくなり、生活スタイルをかなり変更しないといけなくなります。糖尿病は全身病です。糖尿病の管理目標は、これらの合併症予防です。

ぜひ「しめじ」予防のため、年に1度の眼科受診、腎臓健診を積極的に受けていきましょう。

「微小血管障害=しめじ」

し:糖尿病性神経障害
め:糖尿病性網膜症(目の病気)
じ:糖尿病性腎症(腎臓病)
発症頻度も『し→め→じ』の順であることが多いのも、最近の研究でわかっています。

「大血管障害=えのき」
え:壊疽(えそ)
の:脳血管障害(脳梗塞)
き:狭心症・心筋梗塞などの冠動脈疾患