院長コラム

ピロリ菌検査について⁶

ピロリ菌はらせん状をした細菌です
4~8本のしっぽをヘリコプターのように回転させて移動するため、ヘリコバクター・ピロリと名付けられました。胃内は強酸性のため、本来生物が住むには向いていない環境ですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素で胃酸を中和することにより、胃の中に住みつづけることができます。

日本では国民の約半数(6000万人以上)が感染しており、ほとんどが5歳以下の幼少時に感染するといわれています。一度感染すると除菌しない限り胃の中に住み続けます。感染経路としては、経口感染(感染している親からの離乳食口移しなど)や井戸水によるものが大半を占めています。

ピロリ菌は胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎、胃癌、胃MALTリンパ腫の発生や進行、特発性血小板減少性紫斑病などの原因となります。除菌により胃十二指腸潰瘍の再発や胃がんの予防効果があると考えらています。

ピロリ菌による症状
基本無症状です。感染しているだけで何も症状がない保菌者(無症候キャリア)が全体の70%です。症状は病気を発症した際に基本でます。胃潰瘍によるシクシクした痛み、胃炎よる胃もたれなど様々です。

ピロリ菌の除菌適応疾患(保険適応)

  • 胃炎
  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 胃 MALT リンパ腫
  • 特発性血小板減少性 紫斑病
  • 早期胃癌に対する内視鏡治療後

※ 胃内視鏡(胃カメラ)検査を行わずに実施するピロリ菌の検査や3次・4次除菌は自費診療となります。ただし6ヶ月以内に胃カメラ検査を受けていて、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍と診断されている場合は保険適用です。

ピロリ菌検査で当院にて実施可能な検査
・迅速ウレアーゼ試験
・鏡検法
・抗体検査
・尿素呼気試験
・便中抗原

胃カメラを使用して行う検査と胃カメラを使用しない検査方法があります。

病理+α検査(胃カメラあり)
・迅速ウレアーゼ試験
・鏡検法

検体検査(胃カメラなし)
・血液検査
 抗体検査
・便検査
 抗原検査
・呼気検査
 尿素呼気検査

<その日にわかるかどうか>
その日にわかるのは迅速ウレアーゼ試験のみです。

胃がんの原因の約90%以上は、ピロリ菌感染によるものです。
ピロリ菌の有無を確認して、感染している状態(現感染)なら除菌治療をおすすめします。
ピロリ菌の検査を受けて自分の胃がんリスクを知り備えることが、がんリスク軽減につながります。