院長コラム

慢性蕁麻疹とピロリ菌

蕁麻疹とは、かゆみを伴う赤い小さな発疹が何の予兆もなくでて、数時間から半日程度で改善します。発疹は出たり消えたりを繰り返しますが、クリニックに来院された際にはほぼ消えていることが多いです。数日ほどで解消すれば急性蕁麻疹、一ヵ月以上繰り返している場合は慢性蕁麻疹と診断されます。

原因は大半が不明です。考えられている機序として、食物(魚介類、乳製品、卵類、穀物など)、薬剤、日光、細菌、ウイルス、ストレスなどが考えられています。

蕁麻疹の発症に、細菌であるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染が関与している場合があることがわかってきています。特に原因不明の慢性蕁麻疹(慢性特発性蕁麻疹)の人で、ピロリ菌保菌者に除菌を実施すると慢性蕁麻疹が改善、治癒することがあります。

科学的には韓国・高麗大学校医科大学からの報告(メタ解析)の結果、症状を抑制するうえで除菌療法の影響が重要な意味を持つ一方、寛解は除菌の成功とは関連しないことが明らかにされています。

慢性蕁麻疹に対するピロリ菌の検査、除菌療法は健康保険の対象ではなく、自費診療になります。

治療は抗アレルギー剤の内服になります。

高齢者で慢性的に改善傾向が見られないという場合は、内臓疾患が隠れている場合もありますので、
ぜひ内科でご相談ください!