院長コラム
気象に関連した体の不調について
梅雨入りしました。気分も体もジメジメして、とても体調が良くなるとは思えない天気がつづいています。最近、頭痛や体調を訴えて受診される方が増えてきました。
天気や気象の変化によって起こる身体の不調を「気象病」と呼び、その研究が進められています。
気象病の症状には、頭痛、めまいなどの典型的な症状から、気分の落ち込み、動悸、食欲不振、吐き気、じんましん、腰痛、肩こり、関節炎、術後痛の悪化など様々な症状が含まれます。今回は、天気と痛みの関連をご紹介します。
6月~7月にかけては梅雨前線、8月~9月にかけては台風による低気圧の雲が発生します。雨が降ると体に不調が起こる仕組みには、この低気圧が深く関係しています。
山登りの際に膨らんだお菓子の袋や飛行機の中で耳が詰まったという経験を思い出すと気圧の変化を感じることができるかもしれません。
山の上は低地より気圧が下がる(空気に押さえられる力が弱いため)袋が膨張します。人間の体内でも同じようなことが起こります。関節内で起これば、関節内が膨張することで周囲の神経を圧迫し、痛みが誘発されます。
気象病の原因は、自律神経にあると言われています。
緊張状態で働く交感神経とリラックスした状態で働く副交感神経のバランスで自律神経が成り立っています。急な気圧の変化は体にとってストレスとなるため、交感神経が刺激されて、交感神経が優位になります。この状態では血管が収縮し、筋肉が緊張します。その結果、血行が不良となり、痛みを引き起こしやすい状態になります。
天気によって生じる痛みを「天気痛」と名付け、日本初の気象病外来を開設した佐藤純医師らは、内耳(鼓膜の奥にあるカタツムリのような形をした器官)に気圧の変化を感じるセンサーがあり、その情報が脳に送られることを発見しました。
2020年3月、ウェザーニューズ社が佐藤純医師と共同開発した スマホアプリ「ウェザーニュース」で、天気痛予報が開始されました。最近では、天気痛をもっとわかりやすく解説したスマホアプリ「頭痛る(https://zutool.jp/)」もあります。
体の不調の仕組みを知ることでこれから来る梅雨シーズンの気象病上手くのりきりましょう!