院長コラム

「食欲回復の秋」です。

9月に入ってもまだ残暑といえない日本の夏、いったいいつになったら秋の気配を感じ始めるのでしょう。令和の米騒動が起きたばかりですが、今年は予定どおり秋の味覚を楽しむことができるのでしょうか?

「食欲の秋」という言葉、なぜ秋になると食欲が増すのでしょうか?

一般的に作物は夏の太陽の光を浴び、大きく成長して実をつけます。少しずつ寒くなるにつれて糖度を上げ栄養が最も多く含まれているタイミングで収穫します。旬の時期にとれた作物を食べておいしいと感じるのは、動物的本能によるものともいえます。また作物が取れず、動物であれば冬眠する時期に備えて体に栄養を蓄えておくという意味合いもあるのかもしれません。

人間も日照時間の長い夏の間は十分であった脳内物質セロトニンが、秋になるにつれ低下します(セロトニンは日光を浴びることで分泌されます)セロトニンには食欲を抑制する作用があるので、セロトニンが低下すると、逆に食欲は増していきます。これが秋に食欲が湧く理由です。

セロトニンは別名「幸せホルモン」です。
セロトニンが低下すると人は不安な気分になり、ストレスを感じます。
人は食事をとることでこのストレスを緩和しています。

季節の変化に負けないように適応するためにホルモンを微妙に調整していると考えると、人間って本当によくできていると関心してしまいます。

食べ過ぎに注意喚起する記事も多いですが、食欲の秋は、セロトニンが少し減ってそれを補うための食欲を増進させて、夏バテで疲れた体を回復させたり、これから冬の備えをする意味合いがあります。
食べ過ぎはよくないですが、美味しい旬なものを食べることは体の恒常性を保つためにホルモンの変化が作り出したとても自然な姿なんです。