院長コラム
原因不明の耳鳴りの多くは加齢性難聴
耳鳴りは国内に300人以上患者がいるとされています。耳鼻科(耳鼻咽喉科)を受信されても「原因ははっきりとわかっておらず、うまく付き合っていきましょう」と説明されて、患者さんの多くは「半ば諦めています」「耳鳴りはするけど最近は気にとめなくなった」とはおっしゃいます。
近年この原因不明の「耳鳴り」研究がすすみ、発症の仕組みが少しずつ解明されてきました。
耳鳴りの多くは昔から言われている通り、「加齢」によるものです。
聴力は一般的に20代から低下が始まり、難聴として自覚するようになるのは50代以降からです。65-74歳では3人に1人、75歳以上では2人に1人が難聴を自覚するといわれています。
年齢に伴う難聴は「加齢性難聴」と呼ばれています。耳で音を認識する細胞は一般的に高い音(高音域)から減っていきます。この高音域が聞こえにくくなったことを脳が認識してそれを補おうとして脳の活動が過度に興奮した状態になることで、金属音や電子音のような高い音をより聞こえるように変換した反応が「キーン」とした耳鳴りとして自覚されると考えられています。つまり耳鳴りの正体は、実際に音が聞こえることではなく、脳の過剰反応です。耳鳴りに人間は適応するようになり、やがて耳鳴りが脳にとって危険な反応でないと判断されると、耳鳴りはだんだん落ち着いてきます(気にならなくなります)。
耳鳴りは「難聴」という一種の脳に対するストレスに対する代償的な反応にですが、それを脳自身がうまく変換して適応するという、人間の体の不思議さを物語る興味深い現象です。
もっといえば、将来的には難聴にならない治療、難聴と自覚する前に介入して、耳鳴りを起こさせないようにする方法が見つかれば、耳鳴りで苦しむ多くの人にとって朗報になると思います。
この分野の医学の進化が問われていると思います。