院長コラム
牡蠣小屋の季節・・・ダイジョブと思って食べたら
皆さん、牡蠣はお好きですか?
カキは、冬を代表する味覚の1つ。殻付きの生ガキや焼きガキ、蒸しガキはもちろんのこと、フライや鍋の具材にしてもおいしい食材です。
近年カキの養殖技術の向上などもあり、カキの生食が原因とされる食中毒件数は減少していますが、この2月は明らかなに牡蠣に当たった方が続々と来院されています。
牡蠣に当たらない方法はずばり「よく火を通すことです」
厚生労働省からも貝類の加熱条件として「85℃から90℃で、90秒以上」と推奨目安が示されています。「そんな事言われても、牡蠣小屋で貝の温度など分からないではないか」と思いますよね。
一目でわかる基準として「貝殻が開く」ことが一つの目安になります。実験で貝の内部温度が90℃になるのに170秒の加熱が必要で、実際に貝殻が開いたのは210秒後でした。つまりこの実験結果から加熱時間は「最低4分程度」「貝殻が開いた」で食べるのが安全であると言えます。
特に貝は砂抜きの際、貝から勢いよく水を噴出します。この水の中にもウイルスが含まれている可能性があるため、汚染された容器の中に入って、それが付着した貝殻を直接触って食べる行為も非常に危険です。牡蠣小屋で提供される、殻付きの焼きガキはまさにこの殻を触って取る、食べる行為が一番感染リスクが高いと私は考えております。
またスーパーで売っているものに、殻のない状態の「生食用」と「加熱用」という表示があります。「生食用」と名乗るからには、加熱用と異なり鮮度が高く生でも食べられる…と思ってしまいがちですがが、実は「生食用」と「加熱用」のカキの大きな違いは、生育する海域にあります。大腸菌や雑菌などが基準値以下の指定海域で育てられたカキは「生食用」、それ以外の海域で育てられたカキは「加熱用」という違いしかなく、どちらが鮮度が高いとか、生食に向いているとかの違いはありません。
ノロウイルスの問題は、人の手指にあるウイルスが、手すり、ドアノブ、トイレなどが存在して容易に集団感染してしまうことです。感染者の吐物、排泄物などにもノロウイルスが存在しますので、取り扱いに注意して、消毒・殺菌することが重要です。
