院長コラム

「潰瘍性大腸炎」と「過敏性腸症候群」

似て非なる病気「潰瘍性大腸炎」と「過敏性腸症候群」

仕事中や電車の中で急におなかが痛くなって、トイレに駆けこんだ経験はありませんか?
とくに悪いものを食べたわけでもないのに急に下痢したり、腹痛でトイレからでられなくなったり、そんな経験はありませんか?

そのような症状をお持ちの方の中に「潰瘍性大腸炎」と「過敏性腸症候群」という病気が隠れている場合があります。どちらも原因不明で、生活に支障をきたし、不安を抱えたまま過ごす人の多い病気です。自分でもストレスのせいだと思い、精神科や心療内科を受診されて「心身症」として診断治療されているケースも少なくありません。やがて症状がでることが、ストレスとなり更に病状が悪化します。これが繰り返されると腸はどんどん敏感になり、ほんの少しのストレスで腹痛や下痢などの症状が起こってしまうようになります。仕事や学校生活など日常生活へ影響がでることも容易に想像されます。

両者の区別には大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が有用です。大腸カメラを実施しても一部の潰瘍性大腸炎は感染性腸炎と鑑別することが難しい場合もあります。

難病の診断は難しく、経験豊富な消化器内科医が大腸カメラをすることで初めて診断できる場合もあります。潰瘍性大腸炎ではごくまれに重症化すると命にかかわる合併症を引き起こす可能性がありますので、上記のような症状がある方は一度、大腸カメラにより精密検査をおすすめします。