院長コラム

便秘に良い食事について

ゴールデンウィークですね。今年は休みが分割という方も多いのではないでしょうか?長期休み(GW、夏休み、冬休み)中や後にはお通じが極端に悪くなる方がいらっしゃいます。旅行にでかけて普段と環境がかわったり、極端にトイレを我慢したり、急に熱くなって水分摂取が追いつかなくなったりと理由は様々ですが、便(うんち)は健康のバロメーターです。

本日は健康のバロメーターとなる便(うんち)について真面目に考えてみたいと思います。

便は固まっているので固形のものでできていると思っている方も多いと思いますが、主成分はなんといっても水分(70%は水分)、残り30%が固形成分です。
水分の割合が多くなれば、当然下痢になります。
固形成分は食べかすと考えがちですが、実は食物繊維などの食べかす以外に腸内最近と腸粘膜が含まれています。

良質な排便(すっきり、どっさり)にはカサ(固形成分の量つまり食物繊維の量)が重要です。食事の摂取量が極端に少ないと、カサが不足して良質な排便が難しくなります。言い換えると、十分量の食物繊維の摂取と良い腸内細菌を増やすことが排便には重要と考えられています。

食物繊維について
不溶性、水溶性のものがあります。不溶性食物繊維は、玄米や根菜類やキノコに多く含まれるものです。不溶性繊維は便のカサを増やし、腸を刺激することによって排便を促します。一方、水溶性繊維は海藻類、ゴボウ、イモ類などに多く含まれます。水溶性繊維は粘着性のため栄養の吸収を緩やかにし、急激な血糖値の上昇を抑制すると言われています。いずれの食物繊維もバランスよく摂ることが重要です。(不溶性と水溶性のバランスは2:1が理想的とされています)。不溶性食物繊維の摂りすぎは、かえって便が固くなるなど不調の原因となります。

水分について
口から取った水分のうち、ほとんどは腸管で吸収されてしまい便の中に残るのはわずか1~5%程度と考えられています。起床直後にコップ1杯の水分を取ることが健康にいいとされる理由は胃腸反射(胃の刺激で腸にスイッチが入り動きだす)です。良質な排便習慣には朝の水分摂取は必須と言えます。

腸内細菌を増やす食事について
1)乳酸菌
動物性乳酸菌と植物性乳酸菌がありますが、良いとされているのは植物性乳酸菌です。植物性乳酸菌は、味噌、醤油、日本酒、キムチなどに含まれています。現在見直されている日本食、我々に身近な味噌汁を1日1杯でも飲むことは腸内細菌という観点からもとても重要です。

2)オリゴ糖
善玉菌であるビフィズス菌の栄養源になります。たまねぎ、バナナ、リンゴ、ハチミツなどに多く含まれます。昔からバナナやりんごのすりおろしが便秘にいいと経験的に言い伝えられてきましたが、腸内細菌という視点からかなり利にかなっています。ただし摂りすぎるは浸透圧性下痢を起こすことがあるため、適度に摂取することが重要です。

3)オリーブオイル
オリーブオイルは小腸で吸収されにくいため大腸まで届きやすく、腸の動きを活発にすると考えられています。オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸はナッツやアボカドにも多く含まれています。地中海食ってご存知ですか?以前よりオリーブオイルを多く使用している地中海沿岸の国では高脂肪食を食べているにもかかわらず、血中コレステロール値が低く、動脈硬化による狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患、脳血管障害などが少ないことを報告されています。オリーブオイルを用いた地中海食を継続的にとることで腸内細菌が変わり、その結果病気が少ないということが分かってきました。オリーブオイルは昨今値上がりしていますが、オリーブオイルを用いた食事はぜひ取りれたい食事のひとつです。

4)マグネシウム
マグネシウムはほうれん草やひじき、豆腐(にがりの成分)、納豆などに多く含まれます。マグネシウムには、腸内に水分を引き込んで便を柔らかくする作用ならびに腸の動きを良くする作用があります。病院でも便秘の方にマグネシウム製剤と整腸剤を処方されることがありますが、最近では薬局でも「酸化マグネシウム」「ビオフェルミン(ビフィズス菌)」が一緒になったお薬が売られており、便秘治療にとって両者が一緒になっていることはとても利にかなっています。

便秘でお困りの方はぜひ一度専門医へご相談されることをおすすめします。

便秘の原因がはっきりせずなんとなく薬局で買ったお薬に頼るのではく、一度専門医に相談して、場合によってはレントゲン、超音波検査、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で一度原因をしっかり確認した上で、適切な薬の投薬をうけると、健康的な排便が得られて毎日のストレスが少し軽くなりますよ!