院長コラム

「どっさり」「すっきり」神話に注意

市販されている下剤、サプリメント、健康食品(お茶など)には「どっさり」、「すっきり」便がでることを売り文句にされている商品があります。その多くに大腸を強制的に動かす「刺激性下剤」と同じ成分が含まれています。便秘の方にはとっても魅力的な薬ですが、効きすぎるとお腹が痛くなったり、下痢をしたりすることがあります。

人間の生理的な排便は大腸の後半半分(横行結腸から直腸)にある便を出す反応ですが、刺激性下剤は大腸全部の便を強制的に出そうとします。

本来は水分吸収などの作業が終わっていない便を出すわけですから、当然「どっさり」便はでますが、下痢もします。おまけに翌日、翌々日の分まで強制的に出してしまうので、その後がつづきません。

便秘の方の中には毎日お薬を飲まないと出ないと思われている方も多いため、翌日、翌々日も「すっきり」便を出したくて、同じように服用されます。そうすると便が十分にたまっていない状態で無理やり大腸を動かすことになりますので、当然お腹が痛くなってしまいます。

「刺激性下剤」の本来の使い方は、硬い便がたまって出しにくい状態(出口に栓がされていることをイメージされてください)をリセットするための薬です。

「刺激性下剤」は週2回程度を目安に正しく使用しましょう。また便が出しにくくなる病気が隠れていないか、一度医師に相談の上必要時は大腸カメラにより検査を受けて自分にあったお薬を決めましょう。