院長コラム

「先生、最近やたらにおならが出るんですよ」

発表や大会前にしーんと静まった会場で自分の生唾を飲む音が気になった経験をお持ちでないですか?
人間は緊張すると唾液を飲み込みやすくなります。

唾液を飲む際に1回当たり、15ccの空気も一緒に飲み込んでいます。
緊張のあまり100回ほど唾を飲み込むとペットボトル大の1本(1.5L)飲み込んでいることになります。気にならない程度なら問題はありませんが、「緊張する」→「お腹が張る、お腹が鳴るのではないか」→「気になる」→「緊張する」→「生唾をのむ」を繰り返すことで、空気を飲み込みすぎることにより症状をきたしている状態は「呑気症(空気嚥下症)」と呼ばれています。

呑気症(空気嚥下症)の人は「お腹が張ることで、人前でおならがでるのではないか」「(しーんと静まり返った中で)お腹がぐるぐる鳴るのではないか」「最近やたらにおならが出るんですよ」と心配になり相談にいらっしゃいます。

呑気症の特徴として、平日日中(学校や会社がある時間)には症状がありますが、帰宅後や休日にはそれほど症状はでません。

対処法として内服薬(市販でもガスピタンという名前で同じような効果が期待できる薬があります)がないわけではないですが、緊張に伴う自然な生理現象が原因であるため根本的な治療法はありません。

週末や休日は症状がないことで安心してもらい、病気ではないと伝えると安心されることが多く、徐々に治っていく方が多いです。異常がないことがほとんどですが、もしご心配な場合は一度専門医へぜひご相談ください。