院長コラム
循環器の薬と便秘(血圧の薬・心臓の薬)
「血圧の薬を飲み始めてから便秘がちになった気がする」
「心臓の薬を飲んでいるが、下剤が手放せなくなった」
そんな経験はありませんか?
循環器薬はよく処方されている薬です。頻度は決して高くないですが、便秘を起こしやすいものがあります。今回は代表的な薬とその理由を解説します。
カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)
血圧の治療としてよく使われる薬です。血管を広げて血圧を下げますが、同時に腸の動きも弱めてしまうことがあります。
- ベラパミル:便秘の副作用が有名で、10〜20%の人に起こるとされます。
- ジルチアゼム:ベラパミルほどではありませんが、便秘が出ることがあります。
- アムロジピンなどの新Ca拮抗薬:便秘は少なめ。むしろ「むくみ」や「頭痛」が副作用として多いです。
便秘が強い場合は、同じ降圧薬でも種類を変えることで改善することがあります。
利尿薬
体の余分な水分や塩分を尿として排出する薬です。心不全や高血圧でよく使われます。
- ループ利尿薬(フロセミドなど)
- サイアザイド系(ヒドロクロロチアジドなど)
直接腸の動きを弱めるわけではありませんが、水分が不足することで結果として便が硬くなり、便秘につながることがあります。
心臓の薬
- ジゴキシン:心不全や不整脈で使われる薬です。吐き気や食欲低下と一緒に便秘が出ることがあります。
- 抗不整脈薬(ジソピラミドなど):抗コリン作用により、腸の動きを抑えて便秘が起こりやすくなります。
対応の工夫
- 水分をしっかり摂る(特に利尿薬を飲んでいる場合)
- 食物繊維・発酵食品を取り入れる
- 適度な運動で腸の動きを助ける
- 便秘がつらいときは、自己判断せず、主治医に相談しましょう
まとめ
循環器の薬は命を守る大切な薬ですが、便秘という意外な副作用が出ることがあります。
特に ベラパミルやジソピラミド は便秘が強く出やすい薬として知られています。
「薬を飲み始めてから便秘が悪化した」と感じたら、早めに主治医に相談しましょう。