院長コラム

快眠は快便に通ずる(第2弾)

— 睡眠の質・時間と便秘の関係を科学から知ろう —

実は複数の研究が裏づけを与えています。

睡眠障害や不眠症は便秘リスクになる?

睡眠障害や不眠のある人は、便秘のリスクが高いことが示されており、メタ解析では「睡眠障害があると便秘のリスクが上昇する」と結論づけられています。寝つきや睡眠の質が悪いと、腸の働きにも悪影響があるのです。

睡眠時間の“短すぎ”も“長すぎ”も便秘に悪影響?

国民調査データ(NHANES)によると

  • 男性では、就寝時間が 5〜6時間と短いほど便秘のリスクが高くなる(オッズ比 ≈ 1.5)
  • 女性では、反対に 9時間以上の長時間睡眠が便秘リスクの上昇と関連(オッズ比 ≈ 1.6)

別の研究でも「睡眠時間が短すぎても長すぎても便秘リスクが高まる」という“非線形の関係”が確認されています。

長時間座っていてほとんど寝ないと、便秘になりやすい?

2025年の最新研究では、「長時間座っていて、なおかつ睡眠時間が短い」人ほど、便秘のリスクが非常に高い(便秘リスクが約 1.9倍 )と報告されています。
「座りっぱなし+寝不足」は、腸にとても大きな負担をかける生活スタイルといえます。

睡眠と便秘は“脳腸相関”でつながっている

高知大学の研究によれば、脳-腸軸(脳と腸を結ぶ神経とホルモンのネットワーク)を通じて、睡眠障害が便秘を悪化させることも示唆されています。

特に睡眠障害のある高齢者では、便秘の重症度・腸粘膜過敏性の高さが睡眠の質と強い関連があるという報告されています。

まとめ

睡眠パターン・生活習慣便秘との関係
不眠や睡眠の質が低い便秘リスク上昇
男性:睡眠時間短い便秘リスク高(OR 1.5)
女性:睡眠時間長い便秘リスク高(OR 1.6)
短すぎ・長すぎ睡眠非線形で便秘リスク高くなる
短睡+長時間座り最も便秘リスク高(OR 1.9)
脳-腸相関の乱れ睡眠障害と便秘が悪循環につながる