院長コラム

お酒好きなのに膵炎にならない人 その理由は体質?

お酒を毎日楽しんでいても、膵炎にならずに元気な人がいます。一方で、それほど大量に飲んでいないのに膵炎を繰り返す人もいます。この違いは、単に飲酒量や年数だけでは説明がつきません。そこには、遺伝的な“体質”が関わっている可能性があります。

膵炎は、膵臓に炎症が起きる病気です。膵臓は、食べ物を消化するための酵素や血糖値を調整するインスリンなどを分泌する重要な臓器です。急性膵炎は突然の腹痛とともに発症し、重症化することもあります。慢性膵炎になると、膵臓の働きがじわじわと落ちていき、消化不良や糖尿病、さらには膵臓がんのリスクも上がってしまいます。

ところが実際には、大酒家と呼ばれるような人のすべてが膵炎になるわけではありません。この違いを医学的に調べていくと、いくつかの遺伝子が関わっていることが分かってきました。PRSS1やSPINK1、CFTRなどの遺伝子は、膵液の流れや消化酵素の調整に関係しています。これらに異常があると、少しの刺激でも膵臓に炎症が起こりやすくなるのです。

つまり、お酒を飲んでも膵炎にならない人は、こうしたリスク遺伝子を持っていない、または影響の少ない体質である可能性があります。逆に、同じ量のお酒でも体質によっては膵臓にダメージが蓄積しやすくなります。

さらに、膵炎のリスクは遺伝子だけで決まるものではありません。喫煙や脂っこい食事、ストレス、睡眠不足なども膵臓に負担をかけます。特に喫煙は、アルコールと組み合わさることで炎症の悪化に拍車をかけることが知られています。

家族に膵炎や膵がんの人がいる場合や、過去に膵炎を繰り返したことがある場合は、自分の体質を知ることも重要です。最近では、膵炎や膵がんのリスクに関係する遺伝子を調べる検査も出てきており、将来のリスクを早めに把握する手段として期待されています。

飲酒の習慣は人それぞれであり、健康とのバランスが大切です。膵臓という目に見えない臓器の健康を守るためにも、生活習慣とあわせて、自分の体質に目を向けてみることがこれからの予防医療の第一歩かもしれません。