院長コラム
歯は命 誤嚥性肺炎と歯の喪失 ― 認知症ともつながる口の健康
高齢者の命を左右する病気の一つに「誤嚥性肺炎」があります。
これは食べ物や唾液と一緒に口の中の細菌が気管に入り込み、肺に炎症を起こすものです。
寝たきりや嚥下機能の低下されている方で特に多く、今なお、肺炎は高齢者の方が亡くなる理由で上位を占める疾患です。
誤嚥性肺炎を防ぐには、口の中を清潔に保つことが重要です。
実際に介護施設で歯科衛生士による口腔ケアを定期的に受けていた人は、受けなかった人に比べて誤嚥性肺炎の発症が約40%減ったという研究報告もあります。
毎日の歯磨きができない方にとって口腔内ケアがいかに重要かを示している重要な報告です。
歯周病や虫歯で歯を失って噛めなくなることは食事の楽しみがなくなるだけでなく、脳への刺激の低下や認知機能の維持に深く関わっています。
国内外の調査では、残っている歯が少ない人や入れ歯を使用していない人は、認知症の発症リスクが約2倍に高まるとされています。
つまり「歯を守ること」は、肺炎や認知症といった高齢期の生活や命を脅かす大きなリスクを減らすことにつながります。歯を失った人でも義歯、インプラントを十分活用して、噛める状態を保つことがとても大切です。
口の中を清潔に保ち、そして噛める状態を維持することは、全身の健康と長寿を守るカギなのです。
糖尿病とも認知症とも歯科は深くかかわっており、医科歯科連携の重要性はこれからも高まる一方です。次回以降に医科歯科連携について詳しく説明します。