院長コラム
箸休めコラム トラウマって本当はどんな意味?
「それ、トラウマなんだよね」と友人同士の会話で耳にすることがあるでしょう。
嫌な経験(失敗したこと、怒られたこと、みんなの前で恥ずかしい思いをしたこと)に対して、我々は日常的に「トラウマ」という言葉を使っています。
でも医学的には、もっと重たい意味を持っています。
精神医学でのトラウマとは「心に深い傷を残す体験」を指します。
戦争、災害、事故、犯罪、虐待など、命や心の安全を脅かす強烈な体験が原因となります。
その後にフラッシュバック、不眠、強い不安などの症状が続く状態「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」は、トラウマによって起こる代表的な病気です。
一方で日常会話での「トラウマ」は「苦手になった出来事」「忘れられない嫌な記憶」といった意味で広く使われます。たとえば「プールで一度溺れたから水泳はトラウマ」といった表現です。
これは本来の医学的定義よりはずっと軽いニュアンスです。
もちろん、日常的なトラウマも心の成長や行動に影響します。
しかし医学的トラウマは命に関わるほど強烈な体験に基づくものです。
今を生きていると、違う土地の戦争や災害の映像がニュースで流れることがあると思います。「トラウマ」という言葉を耳にした時、本当はその背景に心の深い傷が隠れている可能性があることを思い起こして、これらのテーマを深く考えるきっかけになると良いと思っています。