院長コラム
抗生物質が招く様々な心身の不調1
定期的な抗生剤投与は何が悪いのか?
抗生剤(抗菌薬)は、感染症治療に欠かせない大切な薬です。
肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、皮膚感染症など、かつて命を落とす原因となっていた病気を救ってきた大功労者といえます。一方で、「定期的に抗生剤を投与することは本当に安全なのか?」という疑問もあります。
実は、抗生剤には「善玉菌」と「悪玉菌」を区別する機能はありません。
細菌全体を攻撃してしまうため、感染を抑えると同時に、腸内で健康を支えている常在菌までも減らしてしまいます。その結果起こるのが腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオシス)です。
腸内細菌は消化吸収を助けるだけでなく、免疫維持や神経伝達物質の調整にも関わっています。
定期的に抗生剤を投与して、特に善玉菌を退治してしまい、腸内細菌のバランスが崩れると
・下痢や便秘などの消化管症状
・腹痛、お腹が張る、ガスの増加
・免疫機能の低下による感染リスクの増加
といった影響が積み重なっていきます。
近年の研究では、抗菌薬の反復使用が過敏性腸症候群(IBS)の発症リスクを高めることも報告されています。特に小児期や若年期に抗菌薬を繰り返し使うことが、その後の消化管トラブルにつながる可能性があることが分かっています。
必要な場面で抗生剤使用は命を守るために不可欠です。
問題は「ただの風邪なのに、前抗生物質が効いたからと漫然と繰り返し投与されること」です。
抗生剤の定期的・反復的な使用は腸内細菌を乱し、将来的な過敏性腸症候群(IBS)の発生や腸管免疫バランスの崩れを招くリスクがあります。次回以降、抗生物質の長期乱用が生み出す、腸ダメージについて深堀りします。