院長コラム

ウイルス感染流行期コラム5 人間がウイルスにやられないための最大の防諜システム、ワクチンをどう捉えるか?

映画の最後、ついに裏切り者もスリーパーセルの正体が・・・・。

だが組織を守る戦いは終わりません。
人体という要塞には、常に潜入のリスクがあります。
ではどうすれば私たち人間はウイルスに勝てるのかが今回の最大のテーマです。

HPVへの逆転劇:ワクチンという防諜網

HPVは設計図を書き換える裏切り者です。

静かに潜入して何年も経ってから組織を乗っ取る。
この黒幕に対しては、すでに人類は「ワクチン」という防諜網を張り巡らせています。

  • 子宮頸がん、中咽頭がん、肛門がんなどはHPVワクチンで防げることが明らかになりました。
  • 世界ではHPVワクチンの接種率向上で子宮頸がん発症が劇的に減少しました。

これは映画で言えば最後に明かされる敵の潜入前に先手を打ち打ちのめすという最高のエンドロールにつながります。

HSVとの長い戦い、潜伏するスリーパーセル

一方のHSVは、派手に現れては潜伏を繰り返すスリーパーセルです。
再発を繰り返すが、がん化しないタイプの敵で、いまだ決定打となるワクチンは存在していません。
抗ウイルス薬(アシクロビルなど)は出てきた時に速やかに鎮圧するだけで根本的な解決になりません。また免疫がとどきにくい神経節に潜伏しているため、完全な排除は難しく、未だ人類は共存を強いられる手強い相手です。

映画で言えば、敵のリーダーは倒したが、潜伏する残党が各地でまだ活動を継続している…この戦いに終わりはない・・・そんなエンディングが見えてきそうです。
人類も指をくわえて黙っているわけでなく、HSVの潜伏解除できるワクチン開発研究が今なお進行しています。
大切なのは、ワクチン接種をするかしないかを個人の判断に任せるのではなく、学校での集団接種やクーポンにより広域接種により集団免疫により社会全体、国全体を守るという取り組みです。

子宮頸がんワクチンの啓蒙は今尚ワクチン後進国である日本で特に継続実施されています。

映画に例えると、手強いが人類の叡智である子宮頸がんワクチンの接種が、なぜ必要かという問いの答えがなんとなく伝わりませんか?