院長コラム
2つのがんを予防する画期的ワクチン HPVワクチンの真価
がんを「予防するワクチン」は、世界を見渡してもほとんどありません。
肝炎ウイルスを抑えて肝がんリスクを減らすB型肝炎ワクチン、そしてもう一つがHPVワクチンです。
特にHPVワクチンは、男女両方に恩恵をもたらす二つのがん予防ワクチン”として注目されています。
まず女性にとって最大の脅威は、HPV感染が原因の子宮頸がんです。
日本では毎年約1万人が新たに診断され、若い世代の死亡原因としても無視できない存在です。ワクチンを思春期に接種すれば、将来の子宮頸がんの9割以上を防げることが世界中の研究で証明されています。
一方で男性に関わるのが中咽頭がんです。
従来は喫煙や飲酒が主因とされていましたが、現在ではHPV感染が最大のリスク因子と分かってきました。しかもこのがんは男性に多く、診断が遅れることがしばしばあります。
HPVワクチンは中咽頭がんの原因となる16型などを抑え込むことで、将来の発症を大幅に減らせると期待されています。
つまりHPVワクチンは、女性にとっては子宮頸がん、男性にとっては中咽頭がんを予防できる唯一の手段なのです。さらに肛門がんや陰茎がんなど、他のHPV関連がんにも効果が及ぶことが分かっています。
“がんは予防できないもの”という従来の常識を覆し、未来の命を救うワクチン。
それがHPVワクチンの真価です。日本では接種対象が拡大しつつあり、男女ともに接種を進める国際的な流れに追いつくことが求められています。