院長コラム
日本はなぜワクチン後進国?
世界では、ワクチンは「未来の健康を守る最大の投資」として当たり前のように受け入れられています。小児の予防接種率は90%を超え、多くの感染症が姿を消しました。
ところが日本は未だにワクチン後進国と呼ばれるほど、接種率が低迷しています。
なぜこんなにもワクチンを打たない国になってしまったのでしょうか。
理由の一つは、過去の副反応報道です。
新型コロナウイルスのワクチン接種の時にその傾向が顕著に現れました。
副作用のリスクが強調され、科学的に効果が圧倒的に上回るという事実が置き去りにされました。
HPVワクチンでも、メディアが不安を増幅させ国が積極的勧奨を一時中止したことで、接種率はほぼゼロまで落ち込みました。
その結果、予防できたはずの子宮頸がんで亡くなる若い女性が増えてしまったのです。
もう一つは「文化的背景」です。
日本人は「自然に任せる」ことを美徳として「予防より治療」を重んじる傾向があります。
医療は受けるが、ワクチンには慎重すぎる傾向があります。
さらに、ワクチンは赤ちゃんや子どものものというイメージが根強く、大人になってから打つべきだという発想が弱いのも特徴です。
制度的な問題もあります。
海外では学校や地域で一斉にワクチン接種が行われ接種機会を逃しにくい仕組みがありますが、日本は個々に任されがち。予約や費用負担の壁もあり、結果的に打ちに行かない選択が増えてしまいます。
しかし今こそ、日本人はワクチンの価値を見直すべき時です。
がんや感染症を予防できる数少ないチャンスを、自ら手放す必要はありません。
ワクチンは「打つか、打たないか」の選択ではなく、未来の命を「守るか、守らないか」の選択です。