院長コラム
HPVワクチンと男性 ― 中咽頭がんを防ぐ意味
HPV(ヒトパピローマウイルス)は子宮頸がんの原因として広く知られていますが、実は男性にとっても重大な病気のリスクとなります。それが「中咽頭がん」、特に扁桃や舌根部にできるがんです。
近年、欧米を中心にこのタイプのがんが急増しており、日本でも確実に増えてきています。
従来、中咽頭がんは喫煙や飲酒が主な原因とされてきました。
しかし最近は、たばこもお酒もほとんど摂取しない男性に発症するケースが目立ち、その多くがHPV感染に関連していることが分かってきました。
特に男性に多い理由の一つは、女性に比べて抗体応答が弱く、HPVを排除しきれずに持続感染しやすいことです。
では、男性にとってHPVワクチンは意味があるのでしょうか?
答えは「はい」です。
HPVワクチンは子宮頸がんだけでなく、HPVが原因となる全てのがん(肛門がん、陰茎がん、中咽頭がんなど)に予防効果を持つことが分かっています。
特にHPV16型は中咽頭がんに深く関わっており、ワクチンはその感染を高い確率で防ぎます。
実際、米国やオーストラリアでは男女共にワクチン接種が推奨されています。
これにより将来的にはHPV関連がん全体の発症を大幅に減らすことが期待されています。
日本でも男性接種は「任意接種」として可能で、10代〜20代前半での接種が特に有効とされています。
「男性は関係ない」と思われがちですが、HPVは性別を問わず感染し、がんのリスクをもたらします。中咽頭がんは発見が遅れやすく、進行した段階で見つかることが多い病気です。
だからこそ、“予防できるがん”を未然に防ぐことが重要なのです。
HPVワクチンは、男性にとっても未来の健康を守る投資です。
日本でも少しずつ男女共接種の認知が広がりつつあります。