院長コラム

未だに不治の病、膵臓がんは未だに5年生存率10%の現実

膵臓がんは、がん医療が進歩した現在でも特に治療が難しいがんとして知られています。
手術、抗がん剤、放射線、さらには免疫療法まで進化してきましたが、日本の5年生存率は依然として約10%前後にとどまっています。

膵臓はお腹の深い位置にあり、胃や腸に隠れているため、がんができても気づきにくいという問題があります。初期段階では自覚症状がほとんどなく、食欲低下、背中の痛み、体重減少などが出た時には、すでにがんが大きくなっていたり、周囲の血管に及んでいたり、転移していることも珍しくありません。そのため、発見された時点で手術が可能なケースは全体の2割に満たず、多くは切除不能(手術できない)の状態で見つかります。

抗癌剤による薬物療法も進化して、FOLFIRINOXやゲムシタビン+ナブパクリタキセルなど、従来より確実に生存期間を延ばせる治療が確立してきました。しかしながら、膵臓がんは血流に乏しく、線維化の強い腫瘍環境のため抗がん剤も免疫療法もとどきにくく、効果が出ても長続きしないという特徴があります。治療が効いたとしても、1〜2年以内に再発することが多いのも、腫瘍環境の影響です。

それでも希望がないわけではありません。腫瘍が2cm以下、リンパ節転移なしの段階で切除できれば、5年生存率は60%を超えるというデータがあります。早期発見さえできれば、膵臓がんの予後は大きく変わる可能性があります。原因不明の体重減少、急な糖尿病悪化、食後の背部痛など、膵臓がんを疑うべき兆候を見逃さないことが重要です。膵嚢胞、慢性膵炎、家族歴があるなどの高リスク群では、毎年定期的な検査を行うスクリーニングの重要性が高まっています。

私は大学病院時代から、超音波内視鏡(EUS)検査を通して1人でも多くの膵臓がんを早期発見したいと取り組んできました。毎年膵臓がんへの啓蒙をおこなっているのもそこに理由があります。

膵臓がんは治療の選択肢も増えていますが未だ難治の病、早期診断のために、リスクが高い方はまずは腹部超音波検査を受けることが重要です。そしてリスクの高い方にはCT、MRI、超音波内視鏡(EUS)を組み合わせた検査が早期発見につながります。