院長コラム
『糖尿病診療ガイドライン2024』の食事療法について
糖尿病患者さんの食事療法について、最新の知見がガイドラインに示されました。
これまでの日本糖尿病学会の治療指針では、エネルギー制限食もしくはカロリー制限食(標準体重(もしくは目標体重)身長、標準BMI 22を利用して、1日のエネルギー摂取量を設定する)が食事療法の中心でした。
ところが、日本人は糖尿病の有無にかかわらず、現体重1Kg当たり36.5kcal程度のエネルギーを消費しているという驚くべき報告(J Diabetes Invesig 2019; 10: 318-321、BMJ Open Diabetes Res Care 2019; 7: e000648)があり、エネルギー制限もしくはカロリー制限は実情に即していないため、今回のガイドラインでは病態に合わせたより具体的な食事指針が示されています。
肥満2型糖尿病へのエネルギー制限食の推奨
2型糖尿病への12カ月以内の糖質制限食の有用性
1型糖尿病への応用カーボカウント*の有用性
2型糖尿病への低GI食の有用性
2型糖尿病への食物繊維摂取の有用性
*糖質摂取量に応じて変化させる方法(毎食の糖質摂取量を変化に合わせて、追加インスリン投与など)
これだけ見ると、今までいいとされたものばかりのように思いますが、通り一辺倒のエネルギー制限食から、どういうものを食事に取り入れるべきか示されたというのは大きな進歩だと思います。