院長コラム

「先生、においがわかりません」Vol.3

前回、耳鼻科で最も多い嗅覚低下の原因「慢性副鼻腔炎」についてご説明したました。

内科に来院される患者さんでその他の原因で多いのは「上気道炎後(風邪後)の嗅覚異常」や「アレルギー性鼻炎」「花粉症」です。

コロナ後遺症も正確にいえば「上気道炎後(風邪後)の嗅覚異常」に含まれます。

また温暖化の影響なのか、花粉に1年中悩まされている人も最近は増えています。

上気道炎後やアレルギー性鼻炎による嗅覚は治療後一定期間でも自然に戻ることが多いと思いますが、戻りにくい場合に再来される患者さんがいらっしゃいます。
漢方を処方したりすることもありますが、長いとⅠ年ぐらい改善に時間がかかる方もおられます。

薬ですべてが改善できるわけではないので同時に日常でできる嗅覚刺激療法が必要になります。難しいことでなく、とにかく匂いを嗅ぐ機会を増やすことです。

一般的に加齢による嗅覚低下が起きにくいとされる女性、この理由として女性は料理をする機会が男性より多く、日常的に匂いを嗅ぐ機会が多いからではないと考えられています。

以前話題にもなった「スメルハラスメント」も男性を指すことが多いように報道されていますが、男性は自分の匂いにも鈍感なことが影響しているかもしれません。

女性は整髪、洗顔、化粧、スキンケア商品の匂い、香水、トワレなど匂いを嗅いで確認する機会が男性より多いように思います。

男性でもいい匂いは良いと感じるものです。

男性も日常の中でも日々の入浴に入浴剤を取り入れたり、意識的に嗅ぐ生活を取り入れてみるといいかもしれません。

男性でも調理の仕事をされている方、ワインのソムリエさんなどは嗅覚が優れていて、低下しにくいと報告されています。

私もワイン、コーヒー、入浴剤など良い香りがするものが大好きでよく嗅いでいます。

匂いを嗅ぐ習慣が認知症予防にもつながりますので、自分のお気に入りの匂いがするものを日々の生活にとりいれてみましょう。