院長コラム
不眠症(なぜ、年を取ると早く目が覚めるのか?)
一段と寒さが本格化、寒くなると朝起きるのがつらい。普段と同じ時間に目覚ましをかけているのに、なかなか起きられない。暖かい布団の中から抜け出せな い。2度寝してしまって、そんなはずはない時間にぱっと目がさめるそんな悩みを抱えている方も多い季節ではないでしょうか。
50代以上の方から「若い頃は10時間ぶっつづけで眠れていたいのに、最近はちょこちょこ眼が覚めるので、しっかり寝てない気がする」という相談を良く受けます。
同世代の私も、夜間に尿意やちょっとした物音で目が覚めるようになりました。
睡眠市場の規模は現在約200億ともいわれています。それだけ眠れない方が多いという事だと思います。
年齢と共にすぐに目が冷めたり、早く目が覚めるようになるのは加齢によるホルモン分泌の変化、体温調整や体内時計のずれから生じていると言われています。
年齢とともに睡眠の質が変化することも知られています。
加齢によりいわゆる深睡眠(ノンレム睡眠)が短く、浅睡眠(レム睡眠)の時間が長くなります(若い頃はノンレム睡眠が長く、レム睡眠が短い)。最近の研究では、40代後半以降は10年ごとに中途覚醒時間が約10分長くなり、もっとも深い深睡眠「ノンレム睡眠N3」の時間は約2%ずつ減少していくことがわかっています。レム睡眠の時間が長いために、尿意や、ちょっとした物音で目が覚めるようになります。
ノンレム睡眠時に成長ホルモンと呼ばれる身体を修復するホルモンが分泌されていることが分かっています。深睡眠が短くなると、それだけ成長ホルモン分泌量が減少しますので、骨量減少しやすくなり、骨粗鬆症や圧迫骨折のリスクも上昇します。
加齢による不眠であっても、生活習慣の見直しはとても大事です。
寝る直前にスマホを見ない、入浴は就寝2時間前までにすませるなど、寝るためのポイントはきちんと抑えておくことが重要です。
そうした生活習慣を心がけてもて、寝付きが悪い(入眠困難)、途中で目が覚めてしまう(中途覚醒)などの症状でぐっすり眠れない方には、最近ではホルモンバランスを調整して睡眠を促すお薬もありますでの、ぜひ一度ご相談ください。