院長コラム

胃がん健診 胃バリウム検査の被ばくについて

胃バリウム検査、毎年何気なく受けておられると思います。

レントゲン検査の被ばく線量(mSy)はご存知ですか?
胸部レントゲン  0.1mSy
CT検査 10~20mSy
胃バリウム検査 直接撮影(大きなフィルム撮影、病院)15~25mSy
胃バリウム検査 間接撮影(小さなフィルム撮影、健診車)20~30mSy

胃バリウム検査は胸部レントゲンの150~300倍の被爆量となります。

ある報告では、日本人で75歳までにがんになる人のうち、レントゲン、CT、バリウム検査などの放射線検査が原因と考えられる発がんの割合は3.2%であったと報告されています(もちろん、発がんのメカニズムが1つの理由だけで説明できるわけではないので鵜呑みすることはできません)

レントゲンは遺伝子本体にあるDNAを傷つける作用があります。
この作用を利用して放射線はがん治療で有用とされています。
1回の被爆量が50~200mSyになると、DNAが傷つけられてその修復過程で発癌すると言われています。1回の胃バリウム検査で発癌することはありませんが、毎年胃バリウム検査を受け続けることで、DNA損傷が蓄積されていきます。

自治体によって変わりますが、胃がん検診で40歳以上から年に1度受けることが可能です。65歳まで毎年実施すると、直接撮影で500mSy程度の被ばくがあります。これに他の放射線診断や地球で暮らしている以上生活の中で知らない間に被ばく(自然放射線による被ばくは年間10mSv程度)も加えると総線量は倍程度にはなります。

放射線を浴びたからと言って誰もががんになるわけではありませんが、レントゲンによる被ばくという視点から、胃バリウム検査を胃カメラに変更する理由の一つにはなると思います。