院長コラム
夏に多い尿管結石(発作)
尿管結石による発作的痛みを起こされたことがある方は、経験的にご存知だと思いますが発作は夏~秋が多いです。現在は猛暑が9月末まで続くような異常気象が続いています。夏場が長くなった分、以前より疼痛を訴えて来院される方が増えている印象です
それを裏付ける面白いデーターが2024年学会(第34回日本尿路結石症学会)で報告されていましたのでご紹介します。
これまでもシステマチックレビューにて世界的に地域を問わず季節や月の平均気温上昇と疼痛を含む尿路結石症関連イベント発生率の有意な関連が示されています(J Endourol 2017; 31: 729-735)
今回の報告は季節や月単位の長期スパンではなく、日単位での気象因子と疼痛発作との関連が研究されている点で非常に興味深いです。
今回の関東7都県と愛知県においてのレセプトデーターを元に、尿路結石症に伴う疼痛発作を救急受診した患者と定義して時系列による分析を行った結果では、1日の救急受診件数と平均気温に有意な関連があり(1℃上昇するごと痛風ほによる疼痛発作がおきやすくなる)。一方、平均湿度、気温差、降水量、平均現地気圧、最大風速との関連は認められなかったと報告されています。
「気温が高い日ほど尿路結石症による疼痛発作による受診件数が増加する」という結論です。『熱中症警戒アラート』が発動されている日には、熱中症予防のために水分接種の意味合いもありますが、結石をお持ちの方は尿量の減少に伴う尿の濃縮、pH低下が結石の形成を助長するのでぜひ水分摂取をこれまで異常に心がけていただければと思います。