院長コラム
睡眠薬で認知症予防?
現在不眠症治療薬として広く処方されている「スボレキサント(商品名:ベルソムラ)」がアルツハイマー型認知症の予防に有用である可能性が2023年米国より報告されました。
スボレキサント(ベルソムラ)には覚醒を維持するために重要なオレキサシンという脳内物質を抑制する作用があります。
またオレキサシンは動物実験で、認知症を進行させる作用が報告されています。
認知症は前に述べたとおり、脳内環境を悪化させるたんぱくの沈着で、神経細胞が破壊されて発症します。このたんぱくの正体は「アミロイドβ」や「タウ」であり、その沈着を防ぐことが、認知症の発症や進行予防に重要であると考えられています。
実験では、スボレキサント(ベルソムラ)を投与した群としなかった群を比較して、投与群で、優位に髄液中の「アミロイドβ」や「タウ」のリン酸化レベル濃度が抑制されていることが証明されました。もちろん長期的で内服をした患者さんの検討ではく、濃度が低下していることが実際に認知症の発症予防にどれだけ寄与しているかは今後の検討課題です。
睡眠中には人間は、日々脳内に沈着する「アミロイドβ」をお掃除しているといわれています。睡眠時間が6時間未満だと認知症発症リスクが30%上昇することがわかっており、認知症と睡眠は深く関与していることが分かっています。
今後睡眠薬の活躍する場が広がる可能性に大いに期待したいと思います。