院長コラム
社会が求める安全 会社や事業主と取り組む睡眠時無呼吸検査の可能性
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、個人の健康問題だけでなく、居眠り運転や業務中の判断力低下に伴う事故やトラブルがひとたび起これば、社会問題となります。
すでに義務化が進む分野
そのような疾患背景から、一部の職業ではすでに検査が必須となっています。
トラックやバスの運転手、新幹線の乗務員、航空パイロットなどです。
これらの業種では事故が大きな被害につながるため、労働者本人だけでなく社会全体を守る視点から制度化が進められています。
本来は必要なのに検査が進まない分野
一方で、同じく社会的影響が大きいにも関わらず未だ検査が義務化されていない分野もあります。
長距離移動を伴う営業職、深夜勤務やシフト制で働く工場労働者、医療従事者、建設現場の作業員などは、安全性や集中力が強く求められる職種です。眠気による集中力低下は、交通事故のみならず、医療事故、労災、産業事故にまで波及する可能性があります。
もはや個人の健康意識だけでは防げない
各個人が「午後に眠くなる」「コーヒーを何杯も飲んでしまう」といった小さなサインに気づき自発的に検査を受けて治療に取り組むことは重要ですが、SASは元来軽症、中等症では自覚症状が乏しいことも多く、個人の意識だけで防ぎきれないのが現実です。だからこそ、会社や事業主が従業員の健康と安全を守る仕組みを整えることが重要になります。
会社や事業主と取り組むSAS
働く人の健康を守ることは、労務管理や安全管理の一部でもあります。
定期健診の中に睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングを組み込む、健康相談窓口で睡眠の問題を気軽に相談できるようにする、治療中の従業員が安心して通院や治療を継続できるようサポート体制を整えるなどの取り組みは、本人だけでなく会社全体のリスク管理にもつながります。
睡眠時無呼吸症候群は、交通運輸業界ではすでに検査が義務化されている一方で、多くの業種ではまだ十分な対応が取られていません。社会の安全と個人の健康を守るためには、個人の気づきと同時に、会社や事業主が主体的に検査や治療の機会を提供する取り組むが欠かせません。
熱中症対策が義務化されたように、SASは個人の健康問題ではなく、社会と組織で支えるべき課題と思われます。
お知らせ
麻生クリニックでは、一般の外来診療に加えてて、企業健診時の睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査依頼にも対応可能です。
従業員の健康管理や職場の安全対策の一環として、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査をご検討中の事業主の方は、ぜひ当院健診窓口までご相談ください。