院長コラム
突発性難聴 再発や後遺症 について
突発性難聴は治療が終わっても「また聞こえが悪くなった」「耳鳴りが続く」「音の響き方が違う」と感じる人が少なくありません。完全に治ったように見えても、内耳や聴神経が一時的に弱っている状態が残っていることがあり、それが再発や後遺症の原因となります。
聴力が回復した人の中でも、耳鳴りや耳閉感が残る割合は30〜40%と報告されています。
これは内耳の感覚細胞が一部損傷しているために、音の信号が脳へ伝わる過程で微妙な誤作動を起こすからです。音が途切れて聞こえたり、片耳だけ響く感じが残るのも、脳が損傷した神経の情報を補おうとして過剰に反応しているためと考えられています。
突発性難聴を一度発症した人は、耳の血流や自律神経の調節機能が不安定な傾向にあります。
強い疲労、睡眠不足、気圧の変化、ストレス、風邪などをきっかけに再発するケースもあります。
再発予防には、血管の健康を保つ生活が大切です。
塩分を控え、十分な睡眠と水分をとり、ストレスを溜めないことが基本になります。
高血圧や糖尿病などの持病がある場合は、そのコントロールが耳の再発防止にもつながります。
治療後に耳鳴りや聞こえの違和感が続く場合には、脳の聴覚中枢が過敏になっている可能性もあります。その際は「音のリハビリテーション」や「耳鳴り順応療法(TRT)」といった方法が有効なことがあります。静かな環境で耳鳴りを強く意識すると悪化するため、適度な環境音や自然音を流して耳の神経を休ませることが推奨されています。
後遺症には心理的要素も関係します。聞こえにくさが続くと不安や緊張が強まり、それがさらに血流を悪化させる悪循環に陥ることがあります。耳の症状を一人で抱え込まず、専門家の診察を受けた上でストレスコントロールが回復の助けになります。
耳は体の中で最も繊細な臓器のひとつです。静けさを感じ取るその器官を守るためには、体を休ませ、心を鎮める時間を意識的につくることが何よりの治療になります。